総長様に愛されたい!~溺愛するはずが溺愛される日々が始まりました~
和葉くんは窓側の一番後ろ。
それに比べて私は……廊下側の一番後ろ。
しかも一人だけ飛び出てる。
これが転校生の宿命か。
ていうか柊先生も重要なところで気が利かないよ!隣にしてよ!せめて後ろ!!
「桜……絶対逆だよ。
女子達の態度の方がよっぽと許すべきじゃないわよ」
「えええ!?うそ!?本気で言ってる!?」
「その言葉そっくりそのまま貴方に返すわ」
菫さんは真顔でツッコミを入れる。
朝日くんも椎那くんも呆れ顔……というか最早引いてるような。
「あの……違ったら申し訳ないんだけど。
桜ちゃんって和葉のストーカー…?」
「こら!椎那!!」
「あははっ、大丈夫ですよ朝日くん」
椎那くんは訝しげに私の方を見つめている。
朝日くんはオロオロと申し訳なさげに……でも少しだけ怪しんでいるみたいだ。
「まず言っておきますけど」
トン、と人差し指をたてる。
「私は和葉くんのお家は知りません」
続いて中指薬指。
「それから携帯番号もメールアドレスも。
ただ、和葉くんのことはそこらのストーカーよりずっと大好きな自信があります」
「……」
「……」
「……」
あれ、皆何も言わないや。
大丈夫かな。
菫さんの顔の前で手を振ってみるけど大きい目をもっとパッチリさせて固まっているだけ。
その顔も綺麗なんだからずるい。