総長様に愛されたい!~溺愛するはずが溺愛される日々が始まりました~
「質問に答えろ。
どうしてニヤけていた」
「和葉くんが私の言葉を無視しないと約束してくれたら答えます」
暗に、“散々無視した貴方にそんなこと言われる筋合いはありません!”と言っています。
「ぶっ」
「ふふっ」
順に、椎那くん菫さん。
二人とも凍結状態から開放されたみたいでよかった。
朝日くんも声に出さないだけでなんだか嬉しそうに笑っているし。
「お前……俺が好きなのにどうして言い返す」
「さっきから質問ばっかりですね!
私に興味が湧いてきました?」
「……」
「無視しないと約束するまでお望みの答えは言いません」
和葉くんの瞳が一層鋭さを増す。
でも恐怖は感じない。
彼が優しい人だということは、当の昔に知っているから。
怯むことなく目を逸らさない私を見て和葉くんは心底怠そうに上半身を上げた。
そのままソファーに座り、空いた自分の隣をトントン叩く。
そして相変わらずの無表情を崩すことなくこう言った。
「答えたら、ここ。座ってもいいぞ」
「………幻聴?」
「いや。お前の耳は正常だ」
それはつまり……隣に座ってもいいってことですか!?
ですよね!?そうですよね!?
「はあー、ふうー、はあー、ふうー」
「ちょ、桜大丈夫!?
興奮し過ぎて過呼吸になりかけてるわよ!!」
「だ、だいだい、ダイジョウブデスヨ」
「絶対うそ……」
取り敢えず一旦落ち着こう。
ゆっくり息を吸うの。
ちゃんと、ちゃんと息を吸って……
「園崎さんストップ!
吐くのが大事だから。深くゆっくり吐いて」
どこまでもお兄さんな朝日くんのおかげで無事呼吸が落ち着いてくる。
一人だけ無言な椎那くんは私の反応に声を抑えて笑っていた。
見えてないと思ってる?
ちゃんと見てますからね。