総長様に愛されたい!~溺愛するはずが溺愛される日々が始まりました~

小さなハプニングと友達

その後の授業の内容は、正直全く覚えていない。

ただ、まだあの空き教室にいるのであろう彼の空いた席を横目で見つめて未だ冷めない身体の熱を感じていた。

一人だけ席が飛び出しているなんてなんとなく疎外感があって嫌だったけれど、よくよく考えるとそのおかげでこうしてギリギリ和葉くんの席を見ることができるのだから恵まれているのかもしれない。

「はあ………自分が単純すぎて嫌になる」

「桜でも自分が嫌になることがあるのね」

「ひいっ!!!」

独り言のつもりで零した言葉を拾われて思わず後ろに仰け反った。

そのまま椅子ごと倒れそうになったところを前から抱えるように支えられる。

「あ、ありがとう………菫さん」

「ふふ、いいえ」

いつの間にか授業が終わっていたようだ。
鞄を持って教室を出て行く人達の姿が目に入る。

それから、廊下の窓からこちらを見つめている人達の姿も。

「転校初日にして人気者ね」

「全然嬉しくない……」





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