総長様に愛されたい!~溺愛するはずが溺愛される日々が始まりました~
「なあ、今の子見た?」
「ああ。めっちゃ可愛かった…」
「あれ転校生だよな?やべぇ狙おっかな…」
前から歩いて来た男子生徒二人の会話が耳に入った。
というより、態と聞こえるように話したんだろう。
「よかったな。可愛いってよ」
「柊先生…一応教師なんだから授業中に歩いてる生徒くらい注意したら?」
「無理無理。めんどくせぇ」
この人ほんとに教師なんだよね…?
ああほら、男子生徒二人ともこっちに気持ち悪い視線向けながら通り過ぎてっちゃったよ。
「ほら、着いたぞ。ここがお前の教室。
二年A組な。」
閉じられた扉の前で先生が止まった。
他の教室の前を通った時は騒がしかったけど、このクラスの中からは少しの声もしない。
「よっぽど怖い先生が授業してるの…?」
「いんや。つうか今の時間、このクラスの担当は俺だ」
「……サボりか」
「ちっげぇよお前を待ってやってたんだよ」
絶対言い訳だよ……。
他の先生に任せればよかったじゃん。
疑いの目で見つめると、あからさまに先生の視線が泳ぐ。
「まあ……あれだ。
今日はあいつ等がいるからな。
教師がいなくても静かなんだよ」
「それって……!!」
「お前の愛しの和葉くんとそのお仲間な。お前の為に今日は教室に来るよう言伝してやったんだ。感謝しろよ」
「流石は柊先生!!大大大好き!!」
「現金な奴…」