総長様に愛されたい!~溺愛するはずが溺愛される日々が始まりました~
「あの、園崎さん…だったかな。
ごめんね。和葉は基本女子とは話さないんだ。許してあげて」
一方的に話し続ける私を可哀想に思ったらしい。
和葉の隣に座っている男子生徒が優しく声をかけてくれる。
彼のことは知ってる。
九重 朝日。
和葉が総長を務める暴走族『朱雀』の副総長だ。
自然体な茶色の髪と優しい雰囲気が印象的で、どうやらその見た目通り物腰のやわらかい人らしい。
整った眉が困ったように八の字を描いており何だか悪いことをしてる気分だ。
でもごめんなさい。
ここで引き下がったら私のこの思いは伝わらないままになってしまうから。
「……そんなの知らない」
「え?」
「女の子が本気で思いを伝えてるんだから返事くらいするのが礼儀でしょう?違う?」
私の言葉に朝日くんは押し黙った。
まさか言い返されるとは思ってなかったのだろう。
髪と同色の少し垂れた瞳を見開いている。
今度は和葉くんの番だ。
何がなんでも返事を貰ってやる。
そう意気込んで再び目の前の彼へと視線を向けた。
―――次の瞬間、心臓がドキリと大きく波打つ。
まるで時間が止まってしまったかのように身体が動かなくなった。