総長様に愛されたい!~溺愛するはずが溺愛される日々が始まりました~
漸く交わった、大好きな人との視線。
揺らぎのない漆黒の瞳が真っ直ぐに私を射抜いた。
「え、と……」
やばい……いざ目が合ったら頭真っ白になっちゃった。
だってだってだって!!
和葉くんカッコよ過ぎるんだもん!!
慌てる隙も無いくらいその美しい顔に見蕩れてしまう。
この至近距離で見ても白い肌には傷一つついておらず、感情の無い冷たい表情は整いすぎていて最早恐怖を覚える程だった。
「……俺が、お前を好きになることはない」
口を開くことすら出来ない私の耳に届いた、甘く響く低音。
薄い唇を開いて紡がれた言葉は私の思いを否定するものだ。
でも、それが分かっていても、私の頬はゆるゆると綻んだ。
声が聞けた。
返事をくれた。
それだけでこんなにも幸せになれる。
「朝日、行くぞ」
「あ、ああ」
ガタン、と音を立てて和葉くんが立ち上がる。
それに続いて朝日くんも席を立ち、二人でドアの方へと向かった。
私はそんな二人の後ろ姿に向けて声をかけた。
「諦めないよ」
驚いたように朝日くんが。
無表情を崩すことなく和葉くんが。
私の方へと振り向く。
「好きだから、諦めないよ」