総長様に愛されたい!~溺愛するはずが溺愛される日々が始まりました~

特等席





「うーん……前途多難とはこのことね」

「そりゃああんなけ派手な告白したらそうなるわ」

授業では使われることのない小さな化学準備室。
そこは既に柊先生の自室と化していて。
置かれているソファーに腰掛けながら紅茶片手に溜息を漏らした。

ちなみに屋主は隅にある机で仕事中だ。
パソコンをカタカタ鳴らしながら相槌をくれる。

「でもさ、ちょっと和葉くんに迫っただけであんなに敵対視されるもの?」

あの盛大な告白劇から今の昼休みに至るまで女子からの鋭い視線が途切れることは無かった。

それどころか休み時間には周りを囲まれ、ブスだのキモイだのありきたりな罵詈雑言を投げ掛けられる有様。

勿論ガン無視してやったけどね。

告白に返事をするのは礼儀だけど、悪口にまで返事をする必要は無いでしょう?

「あのなあ。
和葉は“あの”朱雀の総長だぞ?
おまけに容姿端麗才色兼備。
あいつの人気は芸能人並なの」

「でも別に付き合えたわけじゃないんだよ?
告白して、フラれただけ。
それだけで嫉妬するなら自分も告白すればいいじゃん」

なんて。
本当は分かってる。
たったそれだけのことにどれだけの勇気がいるのかってこと。

実際私だって、予定では昼休みは朱雀の幹部達の溜まり場になってる空き教室に突撃する筈だったのがこうして柊先生のとこに休憩に来てるわけだし。

でも、だからって睨んだり悪口言ったりするのは違うでしょ。
私も頑張って勇気振り絞ったんだしさ。


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