契約結婚のはずが、極上弁護士に愛妻指名されました
 本当のところはその逆で、まったく気がついていなかっただけなんだなと思いあたり、和臣は思わず笑みを漏らした。

 誰だ、クールビューティーなんて言ってたやつは。

 いずれにせよこの事務所の誰でもなく、自分が彼女と結婚することにしておいてよかったと和臣は思う。
 でなければ、今頃、彼女が他の男にまた無茶なことを持ちかけているのではないかと心配で、落ち着かない気持ちになっていただろう。
 少なくとも自分が夫でいる間は、そのような心配は無用だなどと和臣が考えたその時、デスクの上の電話が鳴る。
 見ると事務室からの内線だった。

「はい、瀬名です」

『佐々木です。先生、次の相談の予約ですが、先程先方からお電話がありましてキャンセルになりました』
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