契約結婚のはずが、極上弁護士に愛妻指名されました
 毎週出演しているニュース番組がたまたま休みだったあの日、和臣が渚を問い詰めているまさにその瞬間に届いた荷物に、渚は目を輝かせた。
 普段は父も母も和臣が自炊をしないとわかっているから、そのような物を送ってくることはない。でも結婚をして夫婦で住んでいるのなら、いるかもしれないと思ったらしい。
 実家で作った米と、畑で取れた野菜でいっぱいのダンボール箱を見て和臣は少し申し訳ない気持ちになった。
 両親と兄は和臣に大学院を辞めさせたことをずっと気に病んでいて、司法試験に受かった後、これからは好きなように生きてくれと言って再び東京へ送り出してくれた。
 勝手に決めた渚との結婚も、多忙をいい訳にして顔合わせもしてないことにも、なにも言わない。
 それでも心の中では息子の結婚を喜んでいるのだろう。
 ダンボール箱いっぱいの食料がそれを物語っていた。
 その思いを目の当たりにして和臣の胸は、少し痛んだ。
 だがすぐにその気持ちは、隣にいた渚によって、吹き飛ばされてしまった。
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