契約結婚のはずが、極上弁護士に愛妻指名されました
 あげくの果てに、このままそばに……などというありえない願いを抱いてしまいそうになるのだ。
 渚はため息をついて、煌びやかな夜景に視線を移した。
 なんだか泣いてしまいそうだった。
 強く、彼に気持ちが惹きつけられるのを感じていた。
 もし結婚するなら彼のような人がいいなと無邪気に思うところで、本当に自分は踏みとどまれるだろうか。

 このまま一緒に住み続けて、もっとたくさんの彼を知ってしまっても……?

 渚は首を振って、ゆっくりと立ち上がる。
 そして和臣の寝室へ行き、薄い布団を持ってくると、それを和臣にそっとかけた。

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