契約結婚のはずが、極上弁護士に愛妻指名されました
 彼女はだいたいいつもこんな感じなのだ。
 その義姉の言葉に渚が目を輝かせた。

「それ、わかります! 作業着に長靴、日焼けした肌! カッコいいですよね~!」

 心底同感だといった様子の渚に家族は皆、一瞬目を丸くする。
 なにを言ってるんだと、和臣がじろりと睨むと、渚は頬を染めてうつむいた。

「あ、いえ。素敵な話ですね……」

「そうかそうか! いや長靴と作業着ならわしも負けんぞ」

 父がカラカラと笑った。

「ふふふ、かーわい!」

 みゆきも満足そうに笑って、次は渚の番だとばかりにまた渚に問いかけた。

「で? 渚ちゃんは? 和臣君とは同じ職場なんだよね。やっぱりビシッとスーツで決めた弁護士としての姿に……みたいな?」

「え⁉︎ えーと……」

 また自分に話を振られてしまった渚は、ごにょごにょと口籠もっている。
 和臣は、ついさっきまでは助け舟を出さなくてはと確かに思っていたはずなのに、急にその気がなくなって、知らんぷりでビールを飲んだ。
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