契約結婚のはずが、極上弁護士に愛妻指名されました
「大丈夫よ、お姉ちゃん。カサゴは唐揚げだけじゃなくて、お刺身にしても美味しいの。これだけ大きなやつならぴったりじゃないかな。しかも取れたてよりも二、三日置いた方が美味しいから、塩をふって冷蔵庫に入れておけば、明日か明後日食べられるよ」

 渚の言葉にソファの祐介が振り返った。

「楽しみだなぁ。渚ちゃんありがとう!」

 千秋も明日の夜ご飯のメニューが決まったことに安堵したのか、にっこりとした。

「小さいのは簡単に唐揚げにして、今日食べればいいよ。釣りたてだから絶対に美味しいよ。キッチン借りるね」

 そう言って渚は立ち上がり、早速キッチンのあちこちから調理器具を出し始める。本来なら人の家のキッチンのどこになにがあるかなどわからないのが普通だが、ここだけは別だった。
 祐介の趣味は釣りで、行けば大抵なにかを持って帰ってくるが、どうやら釣るのが専門らしくまったく捌くことができない。妻である千秋は……もっと無理なので、こうやって呼ばれるのはしょっちゅうなのだ。

「いつもいつも助かるわ」
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