契約結婚のはずが、極上弁護士に愛妻指名されました
「だ、だからって、こんな真似……!」

「もちろん、これが最善な策だとは思っておりません。ですから、いずれ時期をみて……ご説明に上がるつもりでおりました。このような形でお知らせすることになってしまい、大変申し訳ありません」

 そう言って和臣が頭を下げるのを、渚は信じられない思いで見つめた。
 だって、彼はなにも悪くないのに。
 なにもかも……本当になにもかも、渚が始めたことなのに!
 龍太郎が和臣越しの渚に向かって、声を荒げた。

「渚‼︎ お前は! まだ弁当屋などという夢みたいなことを言っておるのか。あれはお前などが出来るほど甘いものではない。お前みたいな世間知らずには無理だ。今すぐに家に戻りなさい!」

 そう言って龍太郎が一歩踏み出し、和臣から渚の腕を奪う。

「きゃっ!」

「来なさい!」
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