契約結婚のはずが、極上弁護士に愛妻指名されました
ゆっくりとでもまた歩き始めてみようかという気持ちになりつつある。祖母も母も渚が立ち止まったままでは悲しむに違いないのだから。
そろそろ渚も、彼らを追い求めるのではなく自分の人生を歩まなくては。
そうして改めて考えた時に、思い浮かぶのはやはりあの弁当屋だった。
亡くなった人の影を追うわけではない、ただやりたい、チャレンジしたいと渚の心が言っている。
「渚……、それは、お弁当屋さんを始めるために?」
千秋が確認するように言う。
渚はゆっくりと頷いた。
「お父さんの言う通り、短大を卒業してすぐ始めるのは無謀だったと思うの。いくらたくさんのレシピを引き継いだとはいえ、所詮私は素人だし実際に働いたこともなかったんだもの。でもやりたいことには変わりはないの、小さい頃からの夢だったんだもん。この二年間で学校に行くためのお金を貯めたの」
「今の仕事は? 辞めるの?」
渚は今度は首を横に振った。
そろそろ渚も、彼らを追い求めるのではなく自分の人生を歩まなくては。
そうして改めて考えた時に、思い浮かぶのはやはりあの弁当屋だった。
亡くなった人の影を追うわけではない、ただやりたい、チャレンジしたいと渚の心が言っている。
「渚……、それは、お弁当屋さんを始めるために?」
千秋が確認するように言う。
渚はゆっくりと頷いた。
「お父さんの言う通り、短大を卒業してすぐ始めるのは無謀だったと思うの。いくらたくさんのレシピを引き継いだとはいえ、所詮私は素人だし実際に働いたこともなかったんだもの。でもやりたいことには変わりはないの、小さい頃からの夢だったんだもん。この二年間で学校に行くためのお金を貯めたの」
「今の仕事は? 辞めるの?」
渚は今度は首を横に振った。