契約結婚のはずが、極上弁護士に愛妻指名されました
「あの頃わしはまだ法学部生で下宿が近かかったら、しょっちゅうここに来ていたんだ。母さんはいつも唐揚げ弁当なら唐揚げを、コロッケ弁当ならコロッケをひとつ多くおまけしてくれた。ばあさんには内緒だと言っていたけど、あれは絶対にバレてたな」
そう言って笑う父を渚は信じられない思いで見つめる。
いつもの厳格な父からでたとは思えないくらいに柔らかな言葉で、温かい思い出だった。
でもそういえば、夜中に渚の頭を撫でてくれる手はいつも温かかったと渚はぼんやりと考える。
龍太郎が眉を下げた。
「亡くなる前、もし渚が弁当屋をやりたいと言ったら、そうさせてやってくれと母さんに言われたよ」
「お母さんが……?」
渚は呟いた。
初めて聞かされる意外な事実。でもそういえば、和臣がカタヤマ弁当だけが母の名義のままだと言っていた。
龍太郎が深い深いため息をついた。
そう言って笑う父を渚は信じられない思いで見つめる。
いつもの厳格な父からでたとは思えないくらいに柔らかな言葉で、温かい思い出だった。
でもそういえば、夜中に渚の頭を撫でてくれる手はいつも温かかったと渚はぼんやりと考える。
龍太郎が眉を下げた。
「亡くなる前、もし渚が弁当屋をやりたいと言ったら、そうさせてやってくれと母さんに言われたよ」
「お母さんが……?」
渚は呟いた。
初めて聞かされる意外な事実。でもそういえば、和臣がカタヤマ弁当だけが母の名義のままだと言っていた。
龍太郎が深い深いため息をついた。