契約結婚のはずが、極上弁護士に愛妻指名されました
 今まさに別れ話をしようとしているというのに。
 あんな記事が出た後すぐに、渚と和臣が離婚したことがバレたら今度はなにを書かれるかわからない。
 和臣はあくまでも固い表情のまま対応する。

「私からはなにもお話しするつもりはありません。お引き取り下さい」

 だが、記者は引き下がらない。

「一部からは事務所を継ぐための打算的な結婚では?と言われていますが、これについてはどうお考えですか。奥様は所長の佐々木龍太郎弁護士の娘さんですね。関係者の方からの情報では、おふたりはもともとお付き合いされていたわけではないと……。仮面夫婦なんて話も出ましたが」

 まるで和臣を挑発するような言葉を記者はつらつらと並べてゆく。そういう作戦なのかもしれないと渚は思った。
 なんとかして、和臣から言葉を引き出そうという……。
 だが和臣はあくまでも冷静だった。

「お引き取り下さい。お答えはしません」
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