契約結婚のはずが、極上弁護士に愛妻指名されました
 そしてシックなカラーのファブリックでまとめられたその部屋が彼の寝室だということに気が付いて飛び起きた。

「私……! ここで、寝ちゃったんですか⁉︎ すみません」

 反射的に謝ってしまった渚に、和臣は枕に身体を預けたまま、一瞬驚いたように目を開く。そして、肩を揺らしてくっくと笑った。

「どうして謝るんだよ。今日からここが渚の寝室だ。もうあっちで寝るなんて許さないよ」

「え⁉︎ あ……」

 その時になって渚はようやく状況を把握する。
 そうだそういえば、昨夜ふたりはここで……。
 でもそこまで思い出して、耳まで真っ赤になってしまった。
 一夜明けてもまだどこか現実のこととして受け止められていなかった。
 和臣が目を細めて、少し心配そうな声を出した。

「身体は、キツくないか」

「え……?」

 彼の言葉に一瞬渚は戸惑うけれど、でもすぐにその意味に思い当たって、またもや真っ赤になってしまう。
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