契約結婚のはずが、極上弁護士に愛妻指名されました
 家に着くまではその言葉の意味を尋ねるつもりでいた渚だけれど、最後は、記憶も曖昧なくらいくたくたで、あっというまに眠ってしまったから、そんな余裕はなくなってしまったのだ。
 渚は和臣に問いかけた。

「和臣さん、昨日記者の人に言ったことは……」

 和臣が眉を上げて答えた。

「本当のことだ」

「……?」

 和臣が窓の外へ視線を移し、少し感慨深げにふぅーと長いため息をついた。

「……自覚したのは夏の帰省の頃だったけど。でも思い返してみたら、やっぱりあの見合いの時から始まっていたんだと思う」

「始まって……?」

 渚は小さく首を傾げる。
 それをじろりと睨んで、突然和臣が渚の髪をぐしゃぐしゃとかいた。

「きゃっ⁉︎ な、なに⁉︎ か、和臣さん⁉︎」

「だってどう考えてもおかしいだろう! 君の夢を叶えるために結婚までするなんて!」
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