契約結婚のはずが、極上弁護士に愛妻指名されました
 もちろん父に反対をされずに、専門学校に行きたいからなんていう不純な動機で結婚なんてするべきではない。
 でもフリなら?
 そして相手が音川なら?
 一生結婚しないと決めている音川なら、例えば渚が専門学校へ行っている間だけでも結婚しているフリをしてほしいとお願いするわけにはいかないだろうか。
 いくら父の扱いは慣れているとはいえ、音川だって貴方の娘さんと結婚したくありませんと、断るのは気を使うことには変わりはないだろう。
 なら……。
 無謀すぎる、ありえないと自分の中の常識的な部分が言う。だがこれしか方法がないと、別の自分がそれを説き伏せた。
 四月まではあと二カ月しかないのだ。
 その間に、見合い話を回避しつつ、父に専門学校の件も了承してもらわなくてはならない。
 これは今までの経験上、非常に難しいことだった。
 ならば……。
 無茶でもなんでもやってみるにこしたことはないんじゃない?
< 47 / 286 >

この作品をシェア

pagetop