契約結婚のはずが、極上弁護士に愛妻指名されました
意外すぎる彼の返答に、渚は思わず声をあげる。だが静かなホテルのラウンジに自分の声が響いたことに気が付いて、慌てて口を閉じた。
もしかして、いやもしかしなくても瀬名が、渚の見合い相手ということなのだろうか。
瀬名の方はそんな渚を、形のいい男らしい眉を寄せ、まつ毛の長い綺麗な瞳を瞬かせて見ている。そして彼にしては珍しく、少し呆れたような声を出した。
「まさか、佐々木さん。お父様から相手が誰か知らされてなかったの?」
「え? ……いえ、知らされてはいましたけど」
咄嗟にそんな言葉が渚の口からついて出る。
でも考えてみれば、渚は父の口からはっきりと名前を聞いたわけではなかった。ただ父の口ぶりからそうだろうと予想をしただけなのだ。
瀬名が、じゃあなぜそんな誤解をすることになったのだと言わんばかりの表情で渚を見つめている。
その視線に、なんだか居心地の悪いような気持ちになって、渚は言い訳のような言葉を口にした。
「すみません、あの……。実は、相手の方の名前は聞きそびれたんです。ち、父は多分、言ったのだと思いますけど、その前にくどくどとお説教をしていまして……私、父のお説教は聞き流すクセがついているんです。で、お見合いの相手の名前も聞き流してしまいました。でもその後の父の話を聞いて、てっきり音川先生だと思ったわけです……」
もしかして、いやもしかしなくても瀬名が、渚の見合い相手ということなのだろうか。
瀬名の方はそんな渚を、形のいい男らしい眉を寄せ、まつ毛の長い綺麗な瞳を瞬かせて見ている。そして彼にしては珍しく、少し呆れたような声を出した。
「まさか、佐々木さん。お父様から相手が誰か知らされてなかったの?」
「え? ……いえ、知らされてはいましたけど」
咄嗟にそんな言葉が渚の口からついて出る。
でも考えてみれば、渚は父の口からはっきりと名前を聞いたわけではなかった。ただ父の口ぶりからそうだろうと予想をしただけなのだ。
瀬名が、じゃあなぜそんな誤解をすることになったのだと言わんばかりの表情で渚を見つめている。
その視線に、なんだか居心地の悪いような気持ちになって、渚は言い訳のような言葉を口にした。
「すみません、あの……。実は、相手の方の名前は聞きそびれたんです。ち、父は多分、言ったのだと思いますけど、その前にくどくどとお説教をしていまして……私、父のお説教は聞き流すクセがついているんです。で、お見合いの相手の名前も聞き流してしまいました。でもその後の父の話を聞いて、てっきり音川先生だと思ったわけです……」