契約結婚のはずが、極上弁護士に愛妻指名されました
 どうしても夢を叶えたいという渚を少しだけ手助けする、ただそれだけのこと。ボランティアみたいなものだ。
 どうせ自分は一生結婚はしないのだ。だったらそのうちの少しの期間を誰かのために貸したっていいだろう。
 カタヤマ弁当には世話になったから、その恩返しだと言ったのも本心だった。
 だが一方で、もっと時間をかけてよく考えれば他に方法があったはずだとも思う。結婚などというイレギュラーすぎる方法を使わなくても……。
 それなのにどこか焦るように彼女の話に乗ってしまった、その原因に思いあたり、和臣は思わず笑みを浮かべた。

 ……まったく困ったお嬢さんだ。

 佐々木家の姉妹は、実は弁護士仲間の間ではちょっと知られている存在だった。
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