契約結婚のはずが、極上弁護士に愛妻指名されました
 龍太郎には息子はおらず姉妹のどちらも司法試験を受けていないから、必然的に姉妹の夫が事務所の後継ぎになるのだという意味で。
 さらにいうと彼女たちがどちらも美人で魅力的だったから、一石二鳥と密かに狙っていた者も少なくはない。
 二年前に姉の方が和臣の先輩に当たる神倉祐介と結婚をしたことで一旦跡継ぎの問題は決着がついたように思われた。
 だが神倉はそののんびりとした人柄ゆえか跡継ぎの話は断ったようだ。
 そして結婚後すぐに独立をした。
 しかもそれと同時に渚が入所したものだから、今度こそは!と事務所内の独身弁護士は一気に色めき立ったのだ。
 先生も危なっかしいことをするもんだと当時は少し心配になったくらいだった。
 だがそんな周りの思惑を知ってか知らずか、渚は冷たい対応で彼らの心をバサバサとなぎ倒していった。
< 92 / 286 >

この作品をシェア

pagetop