契約結婚のはずが、極上弁護士に愛妻指名されました
 彼女が事務所へ来て約二年。もはや事務所の弁護士の中に、まだ彼女にアプローチするほどの気力がある奴はいないだろう。
 それなのに……。
 和臣は肘をついて、右手の人差し指で机をトントントンと叩いた。
 音川がダメなら、今にも話に乗ってくれる弁護士を探しに行きそうな渚を和臣は必死で止めた。
 まるで裁判官を説得するかのように。
 もし彼女が、和臣に見せたような素顔でもって事務所の他の弁護士に頼んだなら、乗る奴は確実にいると和臣は思う。
 ただし期限付きの結婚だなどというまどろっこしいことはなしにして、本当の結婚ならと彼女を丸め込んで……。

「本当に、危なっかしいお嬢さんだ」

 呟いて和臣は思わず舌打ちをした。
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