契約結婚のはずが、極上弁護士に愛妻指名されました
帯がブーンと音をたてる。確認すると、ある情報番組で知り合いになった女優からだった。

【今、ニューステンの撮影が終わったところです。やはりコメンテーターというお仕事は楽しいですね。また瀬名先生の貴重なご意見をお伺いしたいです。来週あたり、お食事でもいかがですか?】

"国立大卒の知的な美女"というのが売りのその女優は初めから和臣に親しげだった。

『先生ほど私の知的好奇心に応えてくれる方はいないわ』

と言って。
 それを和臣はどこか懐疑的な思いで受け止めた。
 いやそもそも、和臣は女性自体に少々失望している節があった。
 法科大学院時代、和臣には将来を真剣に考えている恋人がいた。無事司法試験に受かったら結婚しようと約束をしていたその彼女は、和臣が大学院を辞めると知るとあっさりと和臣を捨てて去ったのだ。
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