その一瞬を駆け抜けろ!

「どうしたー、仲川、珍しいなー元気にしてたか?」

から始まり、お互いの近況報告やなどを話す。 

村山が

「もうお前も3年になるのか?早いなぁ。

まだ陸上、やってるんだろ?
どうだ?相変わらず、走るの好きか?」

と聞かれ、わたしは、少し考えながら

「走るの、好きだよ。でも…
それだけじゃだめなのかな?先生・・」

という問いかけに
村山は中学時代の薫を思い出していた。


「うーん。中学のときから仲川は、
あまり欲がなかったよなー。

1位じゃなくていい、みたいな・・・」

「えっ?先生、気づいてたの?」

「そりゃー気づくさ。お前、2位でも3位でも
さほど悔しそうにしてなかったし、走り方を
変えたいとか、相談されたこともなかっただろ?」

「あははっ・・そっか・・
そうだったね、わたし・・・」

「楽しく気持ちよく走れたら
それでいいって感じだったもんなー」

「そうそう、それでいいと今まで思ってたの、
でも・・・」

「それを誰かに何か言われたのかー?」と聞かれ

わたしは、頷いた。
< 10 / 90 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop