その一瞬を駆け抜けろ!
薫の高校生活と陸上部
中学生活の大半を部活に時間を費やしてきた。
走るのって気持ちよくて、好きだなーって
自覚したとき、そこに陸上部があった。
種目は、
100.200メートル。
でも、とてつもなく不器用だから、
技術を要する障害なんて置かれたら、
全てなぎ倒して、足に痣を作りながら、
ゴールする自信がある。
かといって、
集中力も持久力もないから、長距離なんて
走れない。だから必然的に短距離なんだ。
正直、陸上はやりきった。
中学でもたくさん走った。
だから高校は、公立の普通科に進学して、
高校生活を謳歌しよう!と、思ってたら、
陸上部顧問の黒田に、陸上経験者だと
アッサリバレてしまい、
半ば強制的に入部させられた、
わたし【仲川 薫】が、このお話の主人公。
身長162センチ、
栗毛色のセミロングに同じ色の瞳は、
母親譲りで、一言で言うなれば、
『さっぱり』した顔立ちだと思う。
もう少し頬は、ふっくりしていたほうが、
愛嬌も出るんだろうなぁ、
と、いつも頬をつまみながら思う。
わたしは、小さい頃から2つ歳上の兄のあとを
追っかけているうちに、自然と走るのだけが
速くなった。
もしかしたら自分は、他の人より走るのが
速いのかも?と自覚し始めたのは、
だいぶあとになってからだったように思う。
わたしは、
いままでどんな陸上の大会や運動会でも、
常に結果は、2位、3位ばかりだった。
でも、家族をはじめ、周りの人たちも、
わたしが走るだけで喜んでくれたし、
なによりも風に乗り走るのが、
楽しくて仕方なかった。