その一瞬を駆け抜けろ!

そこへ公平がやってきて
「薫ちゃん、咲ちゃん、どうだったー?」と

聞いてくるので、わたしは記録用紙を見せると

「おぉ!!速い!すっげー!
これ、ベストなんでしょ?

すごいなー、薫ちゃん。

でも、俺、薫ちゃんが走ってるの
見らんなかったんだよなー悔しいなぁ!

咲ちゃんは、どうだったー?」

というと傍で聞いてた咲が

「で、公平は、どうだったの?」、と聞くと

「おかげさまでベスト出ました〜!」
と自信満々にいうので、

ふたりで

「おめでとう!公平もすごいじゃん」
と褒めると

「いやいや薫ちゃんや咲ちゃんには
まだまだ敵わないよ。

お二人に見合うような男になるには、
まだまだ…」

と、おちゃらけながらいうので、


「わたしたち、愛されちゃってるの?
・・・イヤン♡」

と、咲は、わたしに抱き着いてきた。

それをみて公平は、

「うっ…羨ましい…俺もまぜてーっ!」
と言いながら、両手を広げていたが、

二人で、右手の手の平を公平に見せながら
丁重に「お断りします」と断ると

「もぉーーーっ!ズルいよ!悔しい!!」
と言いながら

公平が走り去っていく後ろ姿を見て、

わたしと咲は、顔を見合わせ、
ケラケラ笑いあっていた。
< 22 / 90 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop