その一瞬を駆け抜けろ!
そこへ公平がやってきて
「薫ちゃん、咲ちゃん、どうだったー?」と
聞いてくるので、わたしは記録用紙を見せると
「おぉ!!速い!すっげー!
これ、ベストなんでしょ?
すごいなー、薫ちゃん。
でも、俺、薫ちゃんが走ってるの
見らんなかったんだよなー悔しいなぁ!
咲ちゃんは、どうだったー?」
というと傍で聞いてた咲が
「で、公平は、どうだったの?」、と聞くと
「おかげさまでベスト出ました〜!」
と自信満々にいうので、
ふたりで
「おめでとう!公平もすごいじゃん」
と褒めると
「いやいや薫ちゃんや咲ちゃんには
まだまだ敵わないよ。
お二人に見合うような男になるには、
まだまだ…」
と、おちゃらけながらいうので、
「わたしたち、愛されちゃってるの?
・・・イヤン♡」
と、咲は、わたしに抱き着いてきた。
それをみて公平は、
「うっ…羨ましい…俺もまぜてーっ!」
と言いながら、両手を広げていたが、
二人で、右手の手の平を公平に見せながら
丁重に「お断りします」と断ると
「もぉーーーっ!ズルいよ!悔しい!!」
と言いながら
公平が走り去っていく後ろ姿を見て、
わたしと咲は、顔を見合わせ、
ケラケラ笑いあっていた。