その一瞬を駆け抜けろ!
大会へのカウントダウン
大会1週間前…
少しずつ練習メニューを減らし、
部員は各自、調整にはいる。
わたしは、
どうしてもスタートのタイミングを
自分のものにできた自信がなくて、
最後まで沢田さんと細部にわたる調整を
していた。
すると沢田さんが、
「前よりだいぶスタートも良くなってるし、
あとは、薫ちゃんのキモチの問題だけだ
と思うよ?」
と声をかけてきた。
「気持ちの…ですか?」
「そう…自分のために走る、それだけ。
その気持ちだけを強く持つんだよ。
みんなが喜んでくれる、とか、無しね。
自分のために走るんだ。
それがちゃんと自信に繋がるから、大丈夫!」
と。
「自分のため…ですね…」
とわたしの心のなかで、くすぶっていた
何かが晴れていくような気がした。