その一瞬を駆け抜けろ!
女子100m準決勝。
コールを済ませ、わたしは3レーンに入り、
スタートブロックを調整する。
予選と同じ過ちを繰り返さないため
足を「パンパンっ」と叩き、緊張をほぐした。
今度は、ピストルの合図とともに
スタートを切り、50mあたりで、
他を引き離し、1位でゴールした。
電光掲示板に映し出された自分のタイムを
確認し、わたしは、周りに気づかれないように
小さくガッツポーズをした。
「ベストタイムだ・・・」と。