その一瞬を駆け抜けろ!
そうして薫が3年になる春、
俺は、
どうしても薫が1位をとるところを
見たくなってしまった。
完全に俺の願望だけだ。
いままで大会で好成績を残してきたのに
何故か1位になれない薫。
ある日、ようやく気がついた。
薫自身が結果にこだわりがないことに…。
薫にとって最後の大会までに、薫の気持ちを
どうやって引き上げていこうかと考えたとき、
1位を目指せるのに掴み取ることを
諦めているかのような薫にうまい言葉が
見つからず、
つい感情的になってしまい
「イライラする」とぶつけてしまった。
完全に俺の失言だ。
これで薫が上がってこなかったら、諦めよう、
と思った。
いまなら小さな恋心もいまなら止められる。
どちらも諦めようと思った。