その一瞬を駆け抜けろ!
「で・・・?」と聞き返すと
「あぁ…ごめん、ごめん、陸上の推薦で
体育大から、薫ちゃんに話が来てるよ、
って話なんだ」と言われた。
ようやくこの書類の意味がわかった。
クロセン、相変わらずぼんやりし過ぎだよ…
「薫ちゃんたちの最後の大会、
いくつかの大学の陸上部のスカウトが
見に来てたんだってさ。
薫ちゃんが陸上を続けるなら…
と思ったんだけど、どう?進路、決まった?」
と聞かれた。
わたしは、手渡された封筒を
クロセンの机の上に静かに置き、
「……ありがたいお話です。
でも、もう陸上はいいかなーと思ってます」
と苦笑いしながらいうと、
「だよね、やっぱり?そんな気がしてた…」
「薫ちゃんに、我が陸上部に入ってもらう時も、
あんなにみんなで苦労してたし…
でもさ、正直な話、高校で陸上部入ってどうだった?
聞かせてほしいなー」
と言われた。