その一瞬を駆け抜けろ!
いよいよ最後、わたしの番になったが…
すでにもらい泣きしていて、
最初の言葉がなかなか出せない…
みんなの鼻をすする音と共に
しばらく沈黙のあと、ようやく話し始められた。
「みなさん、今日は、
このような会を開いてくださり、
ありがとうございました。
わたしは、走ることだけが楽しくて、
あまり向上心もなく、自分に自信のない人でした。
ですが、
みなさんから、いろいろな刺激をもらい、
自分なりに踏ん張り、最後の大会では、
結果こそついてこなかったけれど、
最高の走りをできた、
と自信を持つことができています。
正直、陸上は、やりきりました。
なので、これから短大に進み、
保育士になりたいという新たな夢を
持つことができました。
みなさんもこれから、
なにか一つ、
自信が持てるものを見つけてください。
なかなか練習にも
参加できなくなるとは思いますが、
みなさんのことを陰ながら応援しています」
と締めくくると、頬を涙を伝い
その場には、温かい雰囲気が溢れた。