その一瞬を駆け抜けろ!
『果たし状対決』の醍醐味は、
通常の大会では、絶対あり得ない対決を
間近で見られる、とあって部員全員が、
それぞれを大興奮で応援する。
二人のレースは、
スタートから250メートル辺りで
公平が咲を華麗に抜き、公平の勝ちが決まった。
公平の後から咲は、息を切らしながら、
ようやくゴールし、
「はぁ…はぁ…もう・・・もう・・
もう無理…わたし…走りたくない…」
と言いながら、上体を折り曲げていると
公平が最後のメッセージを送るため、
改めて咲の前に立った。
咲もメッセージを受け取ろうと上体を起こし、
公平と向かいあわせで立つ。
「橋本咲さん、
勝負を受けてくださり、ありがとうございました!
入部したときから、咲ちゃんをずっと見てました。
好きです!僕と付き合ってください!」
と右手を出しながら、頭を下げた。