その一瞬を駆け抜けろ!

「果たし状対決」は、まだまだ続く。

トラックとフィールド、入り乱れながら、
ワイワイといくつかの対決が繰り広げられている。

わたしは、そんなみんなの様子を
少し離れたところから眺めながら、
丁寧にアップを開始していく。

わたしにも「果たし状」を
突きつけたい相手がいたからだ。


小さな闘志をメラメラと燃やしている
わたしの姿に気づいた咲が走ってやってきて

「薫、アップ開始したんだねー」

と並走しながら声をかけてきた。

「咲・・・公平とのことおめでとう!
よかったね、わたしも幸せ分けてもらえたよ」
というと、

咲は、また恥ずかしそうに

「ねっ・・びっくりしちゃった・・よ・・
そんな前から公平に想われてたって
思ってなかったから・・」というので

「えっ?
公平、結構、わかりやすかったよ?
公平の言動って・・・

すべて咲に向かってたでしょ?」

と伝えると、
咲は、びっくりした顔でこちらを向き、

「えっ・・・?そうなの?
全然・・知らなかった・・」と
少し落胆していたが、笑顔は幸せに溢れていた。

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