その一瞬を駆け抜けろ!
「で・・・そんな薫ちゃんは、
誰に対決を申し込むのかなー?」と
白々しく聞いてくるので、
「咲、わかってるでしょ?」というと
「うんっ、わかってるよ、確認のため聞いただけー
薫がここ最近、また練習に参加し始めてたから、
おかしいな、と思ってたんだー」
と練習していたことが、すっかりバレていた。
咲の言うとおり、わたしは、早々に進学先が
決まると、また練習に参加し、現役の後輩たちと
一緒に走り込みをしてたのだ。
「バレてたかぁ…
でも今日は絶対、負けないから!!」と言うと
「あらら…
あんなに闘争心がなかった薫からは
信じられない言葉だね、
まぁ、焚き付けた張本人に
責任をとっていただきましょうかー」
とケラケラ笑いながら、
わたしの背中をポンッと叩いた。