その一瞬を駆け抜けろ!

「では、最後の対決行きまーす」と、

クロセンが声を張り上げると、
ゴール付近の部員たちが「はーい!」と返事をする。

ピストルを構えるクロセン

「On Your Marks」

「Set」


「パーンッ!!」

グラウンドに鳴り響くスタートの合図

合図と共に部員たちの声援がこだまする。

「ファイトーっ!薫!」

「ファイトー、
薫ちゃん、いけいけっー!!」

ふたりともスタートは互角。

「沢田さん、ファイト!!」

「ふたりともいけーっ!!」

2人を応援する声が交錯する。

30〜50メートルに差し掛かった二人の背中を
クロセンは、眺めながら「鳥肌立つわ…」
と、小さく呟き手で腕を擦り合わせる。

依然、互角のまま残り5メートル、

僅かに薫が前に出て、そのままゴールを切った。
< 73 / 90 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop