その一瞬を駆け抜けろ!
「では、最後の対決行きまーす」と、
クロセンが声を張り上げると、
ゴール付近の部員たちが「はーい!」と返事をする。
ピストルを構えるクロセン
「On Your Marks」
「Set」
「パーンッ!!」
グラウンドに鳴り響くスタートの合図
合図と共に部員たちの声援がこだまする。
「ファイトーっ!薫!」
「ファイトー、
薫ちゃん、いけいけっー!!」
ふたりともスタートは互角。
「沢田さん、ファイト!!」
「ふたりともいけーっ!!」
2人を応援する声が交錯する。
30〜50メートルに差し掛かった二人の背中を
クロセンは、眺めながら「鳥肌立つわ…」
と、小さく呟き手で腕を擦り合わせる。
依然、互角のまま残り5メートル、
僅かに薫が前に出て、そのままゴールを切った。