その一瞬を駆け抜けろ!
同棲を始めるにあたり、薫のご両親に
挨拶をした頃から考えていたことだが、
薫がどこまでの想いか、まだわからず、
自信が持てなかった。
でも今日の薫の仕事ぶりをみたら、
やはり自分のものにしたくなってしまった。
これから先もずっと俺と一緒にいてほしい
と思ったら、プロポーズをしていた。
薫は、歩いていた足を止め、
「え?けっ…けっ…えっ?」
と言葉が出てこない様子だ。
薫の動揺が手にとるようにわかる。
俺は、薫と向き合い手を取ると
「結婚、だよ」と改めて伝える。
薫は、言葉が出てこずウンウン、
と縦に首を振り何度も頷きながら、
ポロポロと涙をこぼした。
俺ももらい泣きしそうになりながら
もう一度「結婚してくれますか?」と聞くと
ようやく掠れた声で
「はいっ…お願いします」と返事をくれた。
「はぁ…返事もらうまで、ドキドキした…」
というのが素直な感想で感動すら覚えた。
それから薫が落ち着きを取り戻すまで
ゆっくり歩きながら駅に向かった。
いま俺は、すごくしあわせだ。
きっとこれからもずっと幸せだ。