その一瞬を駆け抜けろ!
またあの場所で…
春になり、桜が咲き乱れる頃、
わたしたちは、青春時代を共に過ごした
あのグラウンドにきている。
純也は、
お腹のふっくらしたわたしの手を取り、
常に足元を気にかけてくれている。
今年で、クロセンが定年を迎えるため
お祝いに歴代の陸上部メンバーが集まった。
グラウンドには、大きな円陣が出来上がり、
皆が見える位置に、クロセンがいた。
あの当時、一緒に走っていた森永や咲、
公平たちの姿も確認できた。
みんな、あの頃の面影を残しづつ
確実に大人になっていた。