その一瞬を駆け抜けろ!
すると、数人の先輩方が
「おつかれさまでしたーっ」と言いながら、
クロセンに花束を渡し、みんなで拍手を送った。
クロセンもあの頃より年を取り
立派なおじいさんだ。涙もろくなっているのか、
目を真っ赤に潤ませながら、
「お前たちー。泣かすなよー。
今日は、どうもありがとう。
俺も年を取るわけだな…
いつの間にか、自分の教え子が、こんなに
大勢になっていたとは、夢にも思わなかったよ。
このグラウンドでみんなと一緒に
過ごした日々を誇りに思う。
今日は集まってくれて、本当にありがとう」
と締めくくると、ひとりひとり、
クロセンと挨拶を交わしながら、
握手し始めた。