その一瞬を駆け抜けろ!

純也とわたしもクロセンの前に立ち、
「先生、長い間、お疲れさまでした」
と伝えると、


「ジャジャーン」と言いながら、
二人で決めていたポーズをとった。

左手の甲を見せ、記者会見さながらの
結婚指輪をお披露目するお決まりのポーズだ。

するとクロセンは、

「なんだよー。それ見せつけに来たの?
妬けるなぁ、二人とも、おめでとう!」

というと、クロセンは、わたしたちの手を取り、
まるでお父さんのような雰囲気で

「薫ちゃん、幸せになるんだよ。

きっと大丈夫だよ、すごくいい顔してるね。
優しいお母さんになれるから、大丈夫。

辛くなったら、また連絡しておいで。
そしたら、俺が沢田の尻を叩きに行くから。

沢田は…お前は、大丈夫だな。
薫ちゃんがいれば、それを力に変えられるんだろ?
お父さん、頑張れよ!」

という言葉をくれて、
二人してジーンときてしまった。
< 88 / 90 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop