その一瞬を駆け抜けろ!
次の日、
2年ぶりにわたしは母校の中学に顔を出した。
陸上部顧問の【村山】に会うために…。
村山は、30代後半の社会科教諭だったが、
陸上経験者で、よく生徒と一緒になって
走ってくれる先生だった。
わたしが職員室の様子を伺うべく
顔をチラッと覗かせると
入口から少し離れた席にいる村山が
「おぉ!」と少し驚き、
「珍しいやつが来たなー
こっち、こっち!」と手招きをしてくれた。
わたしは、「お久しぶりでーす」と
村山のとなりの席の先生の椅子を拝借した。
春休み中の職員室は、静かで先生もまばらだ。