おとぎ話の裏側~身代わりメイドと王子の恋~

ジルベールが意志の強そうな瞳が印象的なのと反対に、梨沙の斜め向かいに座る彼は甘い顔立ちで穏やかなイケメンだった。

それでもなんとなく似ている感じがするのは、梨沙がいろんな種類のイケメンを夢に登場させられるほど想像力がないからなのかもしれない。

夢とはいえ、こんな整った顔立ちの男性2人の近くにいるだなんてドキドキする。


「心配無用だ。俺達も城に用がある」

キョロキョロと落ち着かない梨沙を制するように、ジルベールが話しかけてきた。

「城…?」
「まぁ……、芝居を打ちに」

そう言いながら、軍服の彼は隣に座っている男性をちらりと見た。

芝居、ということは役者だろうか。
確かに2人ともテレビや雑誌で活躍してもおかしくないほど格好良い。顔立ちはもちろん、座っていても長身で鍛え上げられ引き締まった体躯だというのは、男性慣れしていない梨沙でさえ分かるほど。

梨沙の真ん前に座るジルベールが着ている赤い軍服は、もしかして王子様役の衣装だろうか。よくおとぎ話の王子様が着ているのがちょうどこんな感じだった気がする。

白タイツにかぼちゃパンツじゃないところを見ると、自分の夢も捨てたもんじゃない。隣の彼はシンプルな服だけど…、どんな役なんだろう。

梨沙はこの夢を受け入れ、楽しみ始めていた。

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