本能で恋をする~again~
「これ、タオルどうぞ!」
「あ、ありがとうございます」
少し濡れた凛音さんが、いつにも増して綺麗で……
「え?あの……」
身体が勝手に、頬に触れていた。


「やめて下さい!」
「あっ、ごめんなさい!」
「あの、海斗に電話させて下さい!」
「あっ、そうっすね!」

少し離れ、海斗に電話する凛音さん。
「もしもし海斗?あのね、今金川さんの家にいるの。――――違うの!そうじゃなくて、待って!海斗、落ち着いて!うん、うん、―――駅の裏のマンションだよ!うん、うん、わかった!」
「海斗、何て?」
「ちょっとパニックになってて………今GPSを入れろって!」
「アイツ怒るだろうな……確実だな。殴られる準備しないと………」
「え?あの…」
「気にしないで下さいね!アイツのことはわかってるので。ちゃんと……」

ピピピ―――
「海斗?」
「あ、みたい。出ますね!
もしもし?うん、えーとここ五階。―――うん、わかった!」

ガンガンガン。
「海斗だな!」

バン――――――!
「凛音!!」
「海斗……」
海斗に抱きつく、凛音さん。
「凛音…大丈夫?」
「うん、金川さんが助けてくれたの。雷なったでしょ?私が震えて怖がってたから!」
「ほんと?何もされてない?」
「うん。されてないよ!」

「したでしょ?凛音さん!」
「え?」
「あ?」
「ここに無理やり連れて来て、頬も触った!だって濡れた凛音さん、綺麗だっ―――――」
バコッ―――――――
「ふざけるなよ……英雄」
「でも、安心しろよ!凛音さんは海斗、海斗って言ってたから!お前愛されてるな!」
「海斗!やめて!」
「凛音…帰るよ!」
「う、うん。あの、ありがとうございました!」
本当わかってねぇな!

「凛音さん!
やっぱりあんた、海斗の言う通りだよ!」
「え?」
「無自覚で、無防備だよ。気をつけないと、ほんとに変な奴に傷つけられるよ!」
「あの……」
「凛音!!行くよ!」
海斗に引っ張られて行った。

*****英雄 side・終*****
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