本能で恋をする~again~
「ごめん、凛音。どうしてもついてくるって聞かなくて…」
「凛音。久しぶり」
「どう…して」
「ちょっと萌!なんで、連れてくんの?コイツが凛音に何したか―――――」
「違うんだ!萌ちゃんは悪くない!俺が無理やりついてきたんだ!」
「ごめん…私帰るね…」
ここにいたくなくて、帰ろうとすると、

「待って!凛音」
私の手を掴む、馨くん。

やめて――――私の事を“凛音”と呼んでいい男の人は海斗だけなの…。
海斗が“凛音”って呼ぶ声が好き。
柔らかくて、愛しそうに呼ぶ声が。

「凛音達の女子会を邪魔するつもりない。ただ一言謝りたくて……」

“謝りたい”そう言われたら、私は無下に断れない。
誰だって間違いはある。
嘘をついてしまうことも。
その時のプライドや自分自身を守る為に。
だから私は許すようにしている。
出来ることなら、争いなんて起きない方がいいから。

海斗は相手を許さないと絶ち切るが、私には無理だ。
そんなことしても前に進めないし、また違う争いが生まれるから。

そして今も、許されたいと願う人が目の前にいる。
「わかった。でも少しだけ…。10分いや、5分だけ!」
「わかった。ありがとう」
「ごめん…すぐ行くから、先に行ってて!」

「凛音?大丈夫?」
「うん」
「わかった。じゃあすぐ来てね!」
< 77 / 116 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop