あなたの声が聞きたくて
〜陽翔side〜


やべー、寝坊した。


大学入学と同時に一人暮らしを始めた俺は、とにかく朝が苦手。

今までは寝坊しても家族が起こしてくれたり、学校まで車で送ってくれたりしていた。

しかし、一人暮らしを始めた今、誰も起こしてくれる人はいないし、なんとかバスに乗って通学しなくてはならない。

急いで身支度をし、オリエンテーションで使う書類をカバンに詰め込み、慌てて家を出た。


走ってバス停へ向かう途中、目の前に一人で歩く女性が見えてきた。

朝起きれる奴は優雅でいいな、なんて思いながらも必死で歩いていると、その女性のカバンからハンカチがはらりと落ちた。

本人はハンカチが落ちたことに気づいていないのか、拾うことなく歩みを進めていた。

俺は走るのを一旦止め、そのハンカチを手に取り、目の前を歩く持ち主へと声をかけた。


〜陽翔side end〜

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