しかし夜はくれない
「…知らなかった。あんまり連絡取るくらいに仲良くないし」
本当に婚約者なのか?ってなるくらいわたしたちはドライすぎる。
「_______…へぇ、俺とは仲良くないくせにクラスメイトとは仲良しごっこしてるわけ」
「えっ、夜くん…」
わたしと不破くんが教室にもうすぐ着くぞって時に夜くんが教室から出てきてしまった。
夜くんはいつも不機嫌だ。
なにかイラッときたときはわたしに当たってくるし、そのあとはずっと保健室かテキトーに中庭とか空き教室とかにいてサボったりしてるみたい。
もっともっと不機嫌なときは誰かとケンカしてるみたいだし、人となにかして鬱憤を晴らしてるみたい。
ぜんぶ噂で聞いたものだけど。
あ、一応言っとくけど夜くんは芸能人、そのことは忘れないでね。
「…彼方、そいつとなにしてんの」
「なにって…ふつうに登校してきただけなんだけど」
「へぇ…」
へぇとか言っときながら顔は納得してない。
眉間に皺は寄ってるし、綺麗な切れ長の目は不破くんを睨んでるもん。