ただ、一緒にいたい
「えーと。玉子と、ひき肉、玉葱と………。
すみません、重いですよね」
「いえ、大丈夫ですよ。その材料は、オムライスですか?」
「はい!せっかくなんで、彰くんが帰って来た時に食べてほしくて…」
「そうですか…羨ましいですね」
「フフフ…じゃあ今度、山科さん達にも作りますね!」
「いや、それは彰様に叱られます!」
「え?」
「お気持ちだけで十分です!ありがとうございます」
「そうですか?」
「はい」


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
家に帰り着き、キッチンで調理する。
でも………
「ぎゃっ!崩れたぁ~」
こんなに不器用だったっけ?私。
「最悪だ!」
「よし、これは私が食べて。次こそ!」

「―――」
「どうしてぇ?じゃあこれは明日の私の朝ごはんにして!」
「うわっ!まただ…もうこれ以上は玉子が足りない……」

とにかく、一番マシなのを彰くんに食べてもらおう。

ガチャ―――――
「あずちゃん!ただいま」
「あっ、彰くん…おかえり…」
「ん?どうしたの?元気ないね…」
「そ、そうかな?」
「うん…泣きそうだよ…」
彰くんが私の頬を撫でる。

「彰くん、ごめんね…」
「え?何が?」
「………」
「愛月?言って?」
「うん、これなんだけど……」
形が崩れたオムライスを見せた。

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