ただ、一緒にいたい
「うぉぉぉぉーーーーー!」
「―――!!」
「愛月ー!!!」

シュッ――――――
「きゃぁぁぁー!」
深村さんが持っていたナイフを私に向かって振りかざした。
咄嗟に顔をかばって縛られた両手を向けたので、手の甲を切られた。
「……っつ。う……」
「愛月様!!」
「―――!」
かなり深い傷みたいだ。手の甲がドクドクしている。
でも手の甲を切られたおかげて、縛られていた縄も切れたみたいだ。

私はハンカチで傷口をおさえた。
「彰くん、私は大丈夫だからね!だから―――え…?」




そこにいた彰くんは、彰くんではなかった。
目が真っ黒の感情をなくした人形。



“西山 彰”とゆう
ただの廃人だった――――――
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