ただ、一緒にいたい
「岸、生島、山科!愛月を頼む…」
そう言うと、真っ直ぐこちらへ静かに向かってきた。
「はい」


こちらへ向かってくる彰くん。
私はきっと深村さんも、恐怖で身体が動かない。
頭の中では彰くんを止めなきゃと思うのに、声も出ない。
喉が張り付いたようになっている。
深村さんも足がすくんでいるようだった。

それ程の恐怖がそこにあった。


「彰、くん…?」
深村さんの前に立つ彰くん。
深村さんの頬横辺りをもち、素早く私とは反対側に引き剥がした。
深村さんは足がすくんでいた為、簡単に飛ばされた。

そして、
「あずちゃん、ごめんね…俺のせいで…。
あと、約束、破るね。大丈夫…もう二度とあずちゃんの前に現れないから。でもその代わり……
お願い、俺を見ないで………」
私の頬を優しく撫でながら、せつなそうに微笑んだ。
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