俺のことずっと好きでいろよ


「この肉団子おいしいです。今度うちでもやってみます。弟も喜ぶと思う。」

「あら、そうよね。弟さんも野球されてるんだもんね。冬はお鍋でガバっとたくさん食べれるほうがいいわよね。」

「はい。うちもお鍋多いです。」

いつもどおり、みのりは母さんと仲よく話しながら食べてる。

母さんはだいたい、誰とでもわけへだてなく話せるタイプで、俺が茉祐子を連れてきたときもそうだったなと思う。

「みのりさんは青山監督の娘さんと聞いたけど、ほんと?」

父さんが肉団子をほおばりながら口をはさんだ。

「はい。学校ではあまりおおっぴらにはしてませんが、一部の人は知っています。」

「そうなのか…。しかし、琉希がちゃんと野球の道に戻ってくれて…よかったよ。」

なんだよ。突然。
しんみりすんなっての。

そりゃ。高校で野球しないって言ったときは父さんも母さんも絶句してはいたけど…。

「わたしは、琉希が自分の道見つけてくれたらそれでいいと思ってたけどね。それは野球じゃなくたってよかったのよ。」

そうだ。母さんは、当時もそういったっけ。

けど、野球じゃない道も見つけられそうになくて、ただ、ぼーっと高校通ってたから、母さんはずっと俺を心配してたんだった。

「まぁ。とにかくよかったよ。」

そんな会話を親2人がやってる中で、翔希はひたすら黙って肉団子を食っている。
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